小説紹介『この世にたやすい仕事はない』津村記久子著

BOOK

題名のごとく「この世にたやすい仕事はない」!

珍しい仕事が5つ登場します。

主人公は、辞めたら職安で相談して転職します。

特に面白かった仕事は、第3話の”おかきの袋のしごと”。

おかきの袋の裏に印刷されているちょっとした小話を考える仕事です。

「国際ニュース豆ちしき」「あのことばの由来」「ノーベル賞受賞者」などのシリーズがこれまでにあり、前任者の仕事を引き継ぎながら、新商品のおかき『ふじこさん おしょうゆ』の新シリーズ「ふじこさんのおだやかアドバイス」を考えます。

はじめは、社内の人の相談をもとに記事を作っていたものが、メディアに取り上げられると一般の人からの相談も寄せられます。

例えば、「退職した夫が家に居るのが嫌で嫌でたまりません」とか、「娘が結婚できません。顔のせいでしょうか」とか。

“ほとんどが私が答えられる相談じゃない”と頭を抱えて、仕事がしんどくなります。

「職場の人と折り合いが悪くなり、仕事をやめました。友達の仕事も、意地悪な人ばかりだというのを聞くと、働こうという気になりません。働くと性格が悪くなるのでしょうか?」

この相談に、「働いているとカリカリしてきますが、べつに性格が悪くなるわけではありません。性格が悪い人は働いていなくても悪いです。同僚の性格の良さというのは、あくまでエキストラなものと考え、まずは自分が合わせられる程度の集団の職場を探しましょう」と答えてます。

ナイスなセンスの回答ですが、主人公は胃が痛くなってきます。

短期の仕事を転々としながら、主人公がぶつぶつ考えていることが、面白くなってきて、途中から一気に前のめりで読んでしまいました。

elly

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F姉妹
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広島市在住の姉妹(あね(姉)とelly(妹))のブログです。身の回りのお気に入り、日々のくらしを紹介します。よろしくお願いします。
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